ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス戦予想
さて、モンスター関連で2件続けて書いたわけだけど、
僕は世界中に、過去から現在まで好きなボクサーがたくさんいる。
話出したらキリがないから職場の同僚は飲み会の席で絶対にボクシングの話を僕にはしない。
チャベスもロイ・ジョーンズも、タイソンもレナードもハーンズも辰吉も長谷川も、
ロベルト・デュランなんて今でも名前聞いただけでザワザワと話したくて仕方なくなる。
なーんてボクシングが大好きな僕だけど、
やってたスポーツ(武道)は柔道と空手です。
だからやりたくて、やろうやろうと考えてなぜかやってないボクシングって、一番実戦で役立ちそうで、でもスポーツとしてルールがしっかり確立されてて、なんか、なんとも好きなんです。
ただの殴り合いなんだけど。
だけども21世紀。
その100年以上に渡るボクシングの歴史に、
ハイテク(高性能)と呼ばれる、
すごい男が現れる事になる。
今まで幾千幾万の猛者たちの流した血により培われてきた技術の集大成。
その名はワシル・ロマチェンコ。
サウル・カネロ・アルバレスやテレンス・クロフォード、井上尚弥らとPFPのトップの座を争っているワシル・ロマチェンコ。「ハイテク(高性能)」というニックネームを持つサウスポーはアマチュア時代に北京、ロンドンと五輪2大会連続で金メダルを獲得しており、プロでは3戦目で世界王座獲得、12戦目で3階級制覇を成し遂げている。67パーセントのKO率を誇るが、パンチを強く打ち込むことにこだわりはみせてはおらず、
常人には捕らえられない多彩なフットワークから放たれる千手観音のようなコンビネーションと手数、巧打で相手に何もさせないスタイルで圧倒的な勝利を築いている。
というのが、あくまでロマチェンコを簡単に紹介できるポイントだが、
ロマチェンコというボクサーのドラマは天才であるが故の敗戦、その後の覚醒、チートっぷりなどを含め、個人的にはそのハイテクぶり以上に意外と人間味を感じるインタビューや練習やトレーニングに対する姿勢にリスペクトをしている次第である。
ロマチェンコの話しだけで数千文字かけるくらい思い入れがあるが、
今回はロマチェンコにとって非常に大事な試合が近いため、長くはなるが、
対戦者情報と、試合予想、
そして今後のロマチェンコの動向を語っていきたい。
ワシル・ロマチェンコとは
アマチュアボクシング:397戦 396勝 1敗
プロボクシング:15戦 14勝 (10KO) 1敗
はい、大天才の彼ですが、
アマチュアで一敗、
そしてアマ時代とは比べられないがプロ15戦で一敗している。
というか、人生で公式試合を412戦して2敗って。
シャア・アズナブルくらい完璧な戦績ですよ(なんのこっちゃ)
ていうか、アマ時代の負けは結構な地元贔屓で負けてたはずなんで(のちに違う国際大会でKOでリベンジしてる)、
実質的な敗戦はプロの一敗だけという事になる。
ちなみにプロでの敗けは、プロデビュー2戦目にしてタイトルマッチの、
オルランド・サリド戦で起きた悲劇である。
ちなみに知らない方のためにオルランド・サリドの戦績を見て頂きたいんですが、
総試合数63試合
44勝(31KO)14敗4引分1無効試合
チャンピオンクラスなのに結構負けちゃってますよね、、、
チャンピオンで見たらもっと強いフェザー級のチャンピオンなんてゴロゴロいると思うし、
ロマチェンコは歴史に名を残すPFP選手だけど、オルランド・サリドは決して個人の強さでは名を残さないであろう選手。
しかし、ワシル・ロマチェンコに土をつけた偉大な選手として後世に名を残す事に成功した杞憂な選手となった。
が、もちろんこの勝ちには(負けには)ちゃんと後の伝説に繋がるエッセンスが多数含まれた、競技とはいえコンタクトスポーツのダーティな側面と、階級制である事における真の勝ち負けをつけられない内容になっている。
ちなみに、ロマチェンコの身長リーチだが、
身長170cm、リーチ166cm
フェザー級でデビューしたロマチェンコだが、
現在主戦場としているライト級では小柄な部類である。
オルランド・サリドについて
さて、ロマチェンコ対ロペスの一戦に対する展望なわけだから、
いくら天才ロマチェンコが負けたからって、
14敗もしている、バッティングやローブロー、ドーピングまで、ダーティーな戦法はなんでもござれなサリドに関して語る事はあまりないであろう。
しかし、サリドのためだけに文章を書こうとは思わないが、ハイテクの挫折と成長を語るためには絶対に必要な人物ゆえに、お時間をとらせて頂きます。
オルランド・サリドは、メキシコのプロボクサー。ソノラ州シウダ・オブレゴン出身。元IBF世界フェザー級王者。元WBO世界フェザー級王者。元WBO世界スーパーフェザー級王者。世界2階級制覇王者。
戦績は先程も申し上げたが、勝ったり負けたりの戦績。
しかし、勝ったり負けたりしたのはデビューした当初の若い時代。
サリドは勝ったり負けたりを繰り返しながら、『プロの戦い方』を身につけていく事になる。
ちなみにだが、アマチュアボクシングとプロボクシングって、同じボクシングなのに、全然違う競技だと言われています。
特に大きな違いは、
プロは世界戦だと3分12Rありますが、
アマチュアは3分3Rです。
グローブの大きさも違い、ヘッドギア着用もありますので、
走る行為で比べると長距離走と短距離走くらい感覚が違うものです。(たぶん)
ですので、本来ならアマチュアでいくらパンチやステップワークの技術が高かろうが、
まずはラウンド数の少ない下積みから始めて、
徐々にプロのルールや戦い方、スタミナ配分を身につけていかなければ、いかに金メダリストと言えど違うルールでは全く歯が立たない場合もあるのです。
ところが、天才ロマチェンコはなんとプロ2戦目で世界挑戦をしてしまいます。
負けず嫌いなのか、なんなのか、
本人的にはデビュー戦で世界戦がよかったみたいなんですが、契約やらタイミングやらなんやかんやあって2戦目に行われることになりました。
ロマチェンコの自信からすれば、プロで何敗もしているサリドに負ける気はさらさらなかったはずです。
そして試合前日の計量でハプニングが起こります。
なんとサリドが規定体重を超過してしまう。
試合前に、
ロマチェンコにプロの厳しさを教えてやる
と言っていたサリド。
狙ったのかどうなのか、真相はわかりませんが、体重超過のため、このタイトルマッチで勝利してもサリドは王座剥奪となってしまいます。
そして体重超過があってもロマチェンコは試合を受けたため、
翌日予定通りゴングが鳴りました。
内容としては、
サリドのホールディング、バッティング、ローブローなど、反則行為や、
打たれ強さにだけは絶対の自信があるサリドが身体を密着させてロマチェンコの足を止めてペースを狂わせ泥試合に持ち込む展開になります。
もちろん、今のロマチェンコなら軽く捌いてコンビネーションを打ち込むんでしょうが、
まだプロ2戦目、スタミナ配分に自信がないロマチェンコはクリンチを多用し序盤でセーブした戦い方を選択してしまいます。
サリドのダーティプレーになかなか自分のペースにならずイライラするロマチェンコ。
そして後半、焦って反撃に出るロマチェンコですが、時すでに遅し。
判定2-1で惜しくも敗れてしまいました。
サリド戦後のロマチェンコ
しかし、ここからなんです。
ここからロマチェンコが無双し始めます。
サリド戦の敗北が想像を絶する悔しさだったんでしょう。
プロ3戦目で、現在でもフェザー級最強クラスのゲイリー・ラッセルJr.を激闘の末に下し、世界タイトル初戴冠。
その後防衛戦を挟んで、プロ7戦目で2階級制覇。
そして適正階級のスーパーフェザー級でのチートぶりに、『ロマチェンコ勝ち』(相手が試合途中で、これ以上やっても勝てないと悟り、戦意喪失して棄権してしまう)なる言葉も発生する強さを見せつけます。
その後も変わらぬ強さで、やはり階級の壁も感じさせてきていますが、プロ12戦という世界最短記録でライト級まで制覇します。
しかし、身体の大きい相手に手こずるシーンも増えてきているのも事実。
そんな状況の中、誰もが対戦を避けたがるロマチェンコに挑んできたのが、
アメリカのプロスペクト。
テオフィモ・ロペスです。
テオフィモ・ロペス
アメリカの新星、テオフィモ・ロペス。
現IBF世界ライト級王者です。
昨年、前王者リチャード・カミーを2R圧巻のKOで破り、世界タイトルを獲得しています。
アマチュア時代は両親の母国ホンジュラスの代表としてリオ五輪に出場しますが、
一回戦敗退となっています。
身長173cm、リーチ174cmと
ライト級では小柄なロマチェンコと違い
ナチュラルなライト級の体格です。
ロマチェンコもライト級に上げてからはスーパーフェザー級時代の圧倒的な勝利が少なくなってきているので、やはり耐久面から見るとナチュラルなライト級の体格であり、15勝12KOのパンチを持つロペスはかなり驚異なんではないか?
と、今までだとロマチェンコが一方的な試合で勝つ試合予想が多かったですが、
今回の試合は一発良いのが入ればロマチェンコと言えど終わっちゃうよ。
というロペス勝ち予想する方も結構いらっしゃいます。
とは言え、ブックメーカーのオッズでは
ロマチェンコ1.28倍
ロペス3.5倍と、ロマチェンコがかなり優位です。
ロマチェンコvsロペス戦展開予想
私の予想はズバリ、
判定3-0でロマチェンコの勝利
と予想します!
、、、えーっ?判定?
はい。予想は判定です。
戦い方としてはロマチェンコは相変わらず序盤は10%〜20%程度の力でコツコツ当てながらサイドにステップ。
ラウンドを追うごとに出力は上がっていきますが、無理にKOは狙いにいかないでしょう。
ロペスは高い身体能力を活かし遠い距離からのワンツーを打ち込み、序盤からKOを狙っていくはずです。
というか、ロペスが勝つには得意の右カウンターをロマチェンコに当てたいはずです。
しかし、ロマチェンコの上下左右への打ち分け、フェイントの巧さ。打ったらすぐサイドへステップするオフェンス⇄ディフェンスのスイッチの切り替えの早さなど、カウンターを当てるチャンスはなかなかないのでは、と思われます。
しかし、ボクシングはなにがあるかわかりません。
かつてPFP1位だったローマン・ゴンザレスも階級の壁に阻まれあっさり連敗を喫しています。
もしロペスが勝つとしたらKOしかないとは思います。
フィジカルや、一瞬のスピード、パワーは確実にロペスの方が上ですので、
史上3人目の4団体統一王者がどちらになるか、ワクワクしながら観戦しましょう!
ちなみに、ロマチェンコの先日行われていたインタビューで、
自分にとっての適正階級はスーパーフェザー級だからいずれライト級のベルトは返上してスーパーフェザーに戻る、という話しを本人がしてましたので、主要4団体統一したら、
またスーパーフェザーでの無双が見れるかもしれませんね!
それでは、
最後まで読んで頂きありがとうございます。